
(この記事は2019年4月19日に更新されました)
ランニング前のストレッチは有害なのか?
「走る前にストレッチした方がいいのか知りたい」
「準備運動に何をすればいいのか知りたい」
この記事はそんな方に向けて作成しました。
目次
ランニング前のストレッチ不要論者の主張
「運動前にはストレッチをすること」は常識でした。今でも浸透している考え方ですが、スポーツ科学の進化に伴って新たな潮流も生まれているのも事実。
最近ではランニング前のストレッチ不要論者が増えているのです。ちなみにここでいうストレッチとは、止まった状態で筋肉や腱、靭帯を伸ばしていく静的ストレッチのこと。これがアスリートにとってむしろ有害であるという意見さえあります。主な主張を見ていきましょう。
ストレッチで筋肉がリラックスしてしまう
伸び切ったゴムよりも硬くて弾性のあるゴムがより強い力を生み出す。それと同じく、筋肉も硬く弾力があった方がいいという考え方。ストレッチで筋肉の柔軟性を高めることは代償として弾性を失う行為であり、発揮できるパワーが減るというのです。確かにゴム鉄砲をやっても、ギュッと締まった輪ゴムは遠くまで飛びます。
筋肉や腱に負荷がかかる
体が十分に温まっていない状態でストレッチを行うと、筋肉や腱の可動域を超えて伸ばすことになりケガのリスクが増すという主張もあります。
体が硬い≒速い
「COL5A1」なる遺伝子を持っている人間が長距離走に適していて、この遺伝子を持っている人は柔軟性が低いという報告があります。少々強引ですが、この報告から走行前に柔軟性を高めることのデメリットを主張することもできるでしょう。
ランニング前のストレッチは本当に不要なのか?
スポーツ科学の進化に伴い、今までの常識がどんどん覆されている現状があります。でも、それを鵜呑みにするのは危険だと思う。僕は走る前にストレッチをしないのは怖いと感じるしその感覚を大事にしたい。「ストレッチ不要論」を疑ってみます。
研究報告は出したい成果に寄せている
ストレッチ不要論に関する多くの研究がされているのは事実で、研究自体の信ぴょう性は高いでしょう。ただし、研究者は自分の仮説を支持する結果を出すために状況を操作できることは知っておくべきだと考えます。
ランニングをする状況やストレッチの方法が一般的なやり方と乖離している可能性は否めません。
日本人の体に合っているのか
人種によって筋肉の弾性や体の硬さは違います。元々長距離に向いているケニアやエチオピア選手のメソッドを全て取り入れられないのと同じく、ストレッチも日本人の体、そして自分の体に合っているかで判断するべきでしょう。
僕はランニング前のストレッチを続ける
現時点ではジョギングで体を温めた後に静的ストレッチをすることを僕は続ける。レース前に精神を落ち着ける効果があるし、適度に筋肉を伸ばすことはパフォーマンス向上につながるという実感があるためです。今後どんな風に議論が展開されるか注視していきます。
動的ストレッチとは?
静的ストレッチをしない場合には動的ストレッチを代わりにするのがおすすめです。両方を組み合わせて体をほぐしてもいいでしょう。
動的ストレッチの特徴
ダイナミックストレッチとも呼ばれる手法で、体温を上げることやほぐすこと、筋肉に刺激を与えるのが目的。最近ではレースのアップに動的ストレッチをする一流ランナーも珍しくないですね。止まってじっくり伸ばす静的ストレッチとは対照的に、動きながら行います。
野球の前田健太選手が行う「マエケン体操」、サッカー選手が取り入れている「ブラジル体操」などは典型的な動的ストレッチ。ジョギングしながら、歩きながら取り組めるメニューが多いのも特徴です。
ランニング理論がどんどん刷新されていく
僕にとって衝撃的だった「ランニング前ストレッチ不要論」を考えてみました。スポーツを科学的にとらえなおす傾向が進んでいますが、鵜呑みにせず自分にとってはどうかという観点で考えていきたいものです。
ちょっと前までは長距離の着地といえば「かかと」から。そして底の薄いシューズがシリアスランナー向けだと誰もが疑いませんでした。そんな常識があっという間に瓦解しようとしているのが面白い。これからますます研究が進む中で、どんな新常識に出会うことになるのでしょうか。
1988年千葉県産。25歳に走り始めた。サウナーでありロングスリーパー。ミドルレンジのトレイルレースを中心に走っている。おんじゅくオーシャントレイル2020、みたけ山トレイルラン2019などで優勝。PBはハーフが1:10、フルが2:35。
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