現代マラソンに欠かせないペースメーカー。その賛否とは?

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ペースメーカーを考える。

「ペースメーカーの役割を知りたい」
「ペースメーカーをめぐる議論を知りたい」

この記事はそんな方に向けて作成しました。

マラソンでのペースメーカーとは?

東京マラソンや福岡国際マラソンの中継を見ていると、数人の外国人選手がペースメーカーとしてリードし、後ろに日本人選手らが集団を作る様子を毎回見かけます。そして20㎞あたりではついていけなくなった選手が集団から落ち、30㎞付近でペースメーカーが走るのをやめると一気にレースが動きますね。

解説者もペースメーカーありきで話をしていますが、マラソン経験のない人にとっては「それってアリなの?」と感じることもあるかもしれません。僕もランニングを始める前はペースメーカーが当然のように存在していることに違和感がありました。

今回はそんなペースメーカーをめぐる議論やレースでの役割などを紹介していきます。

ペースメーカーの役割

最近ではトラック競技にペースメーカーがつくこともあるようですが、主には42.195㎞を走るマラソン競技で求められる存在です。

ペースメーカーの役割は主に2つ。1つめは、決められた距離(だいたいが30㎞)まで上げ下げのない安定したペースを刻むこと。2つめは、集団の前方を走り風よけになることです。

自分でマラソンを走るようになってみて、ペースメーカーが選手に与える影響の大きさを実感しました。自分で時計とにらめっこしながら安定したペースを作るのはそれだけで疲れるし、選手同士で後ろについたりつかれたりするのは精神的に摩耗します。まぁ、それがマラソンの醍醐味でもあるということで、記事後半のペースメーカーへの賛否へとつながるわけですが。

なぜ国内・国外問わずにペースメーカーを採用するようになったかというと、好記録が出ることはレースの格を上げるからでしょう。世界記録や、それに迫る記録が出るとメディア露出が一気に増加し、大会としての注目度は段違いになります。スポンサーとの交渉でも間違いなく有利な材料になりますね。

走るウサギ

ペースメーカー不在の大会

世界中のビッグレースのほとんどでペースメーカーが採用されているのが現状です。日本で言えば東京マラソン、福岡国際マラソン、びわ湖毎日マラソン、別府大分毎日マラソンなどエリートレースの全てが該当しますね。

そんなペースメーカーありきの時代ながら、オリンピックや世界選手権にはペースメーカーがいません。この事実はペースメーカーの抱える矛盾点を示しているとも言えるでしょう。つまり、純然たる「勝負」の場にはペースメーカーが適さないとも考えられるのです。なお、世界最古のマラソン大会であるボストンマラソンもペースメーカーをつけていません。

マラソンでのペースメーカーをめぐる議論

マラソンでのペースメーカーについては今でも賛否両論だと言えるでしょう。どのような議論があるのか見てみます。

マラソン競技の本質を損なう?

陸上競技の中でもマラソンは特殊なレースです。42.195㎞を好記録で走り切るためには純粋な走力だけではなく、天候やメンタル、そしてペース配分など様々な要素が絡んでくると言えるでしょう。選手同士が行う駆け引きも魅力です。

しかしペースメーカーがいる場合、選手は「どのペースメーカーにつくか」という選択だけすれば、30㎞付近までは自分での判断がほとんど必要なくなってしまうのです。そして30㎞を過ぎてからのヨーイドン。こうなると、マラソンのもつドラマ性が失われると考える人がいるのも当然かもしれません。

ただ、42.195㎞の距離を最速で走ることもマラソンの本質。世界記録は2時間1分台に突入し、あまりにハイレベルになった現代マラソンでは「記録」と「勝負」の両方を同じ土俵で追及するのは難しいとも考えられそうですね。実際、ペースメーカーのつかないオリンピックや世界選手権、ボストンマラソンンのタイムは記録としては平凡な場合がほとんどです。

日本でペースメーカーが公にされたのは2003年福岡国際

日本ではペースメーカーの存在が公になったのは意外に遅く2003年の福岡国際マラソンです。「公に」としたのは、参加選手としながらも実はペースメーカーの役割を担っていた出場者がそれまではいたためです。

ペースメーカーが、「助力を得てはならない」という陸上競技の決まりに反するのではないかという考えから秘密裏に行われていました。しかし、2002年に国際陸上競技連盟(現:ワールドアスレティックス)が、ゼッケンを分けるなどして出場するペースメーカーは助力に当たらないとしたことで、2003年の福岡国際では公にされました。

走るカエル

ペースメーカーあれこれ

最後に、ペースメーカーについていくつか気になることを調べてみました。

最後まで走り切っていいのか?

ペースメーカーは長くとも30㎞でレースから離脱することがほとんどです。ただ、見ている側としては「30㎞まで余裕で走れるならあと12㎞走ってはダメなのか」と思うことがあります。

これは、契約によって決まっているようですね。「30㎞でレースを終える」というような項目がなければ、走り切って優勝しても構わないようですし、実際にペースメーカーが優勝したケースも複数あります。

また、途中でレースを終える契約だったペースメーカーが走り続けて40㎞地点で止められたこともあります。これを聞いて複雑な気分になりました。

最近は有力選手がペースメーカーをすることも

ペースメーカーは他の選手のために自分の力を使うわけですから、現役の選手にとっては受け入れがたい側面もあるでしょう。しかし、近年ではペースメーカーの在り方自体が変わってきています。

他のビッグレースでも優勝できるような選手がペースメーカーとなりレースに華を添えることもあるし、選手自身もペースメイクを自分のレースのトレーニングと考えるようになってきています。

ただ、ペースメーカーを否定する声が根強くあるのも事実。今後数十年でどのようになっていくのか注目です。

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