
(この記事は2019年8月14日に更新されました。)
「富士登山競走のコースを詳しく知りたい」
「富士登山競走の参加資格を知りたい」
この記事はそんな方に向けて作成しました。
目次
富士登山競走はこんな大会
毎年7月下旬の金曜日に開催。富士吉田市役所から富士山頂まで駆け上がる、上り一辺倒のレースです。富士登山競走山頂コースを制限時間内に完走するためには高水準の走力が求められるため、市民ランナーの目標の一つにもなっています。
この記事は2018年大会の山頂コースに参加した経験から作成しました。
富士登山競走のくわしい情報
スタート時間
- 山頂コース 7:00
- 五合目コース 8:30
コース
「五合目コース」
- 距離 約15㎞
- 標高差 約1480m
「山頂コース」
- 距離 約21㎞
- 標高差 約3000m
3つのパートに分けて山頂コースを解説します。
★スタート~馬返し:ロード
距離:10.8㎞ 標高差:680m
富士吉田市役所をスタートして馬返しまでは、延々と上り坂のロードを走り続ける区間。精神的に一番辛いのはここかもしれません。
7.2㎞の「中の茶屋」まではゆるい上り坂で道幅の広い2車線道路。傾斜もさほどきつくないので、マイペースで刻んでいきます。
中の茶屋を過ぎると道幅が狭くなり、傾斜もきつくなる。ここから10.8㎞の馬返しまでをゆっくりでも走り続けられるかどうかが一つのポイントになるでしょう。
★馬返し~五合目:トレイル
距離:4.2㎞ 標高差:780m
10.8㎞の馬返しで給水したらトレイル区間に入ります。五合目以降とは異なり、木が生い茂る森の中を走るトレイル。路面も富士山特有のものではなく、日本の低山のそれと変わりません。
走ろうと思えば走れるゆるい傾斜で徐々に高度を上げていきます。つづら折りになっていて、短いフラット区間が何度も現れるのでそこはすかさず走りましょう。
★五合目~山頂:登山道
距離:6.0㎞ 標高差:1546m
五合目からは一部のトップ選手を除いて走ることは難しいでしょう。傾斜がいきなり急になります。
五合目から七合目までは滑りやすい砂れきの路面です。できるだけ踏み固められたルートを探して歩を進めるといいですね。
七合目から八合目まではうってかわって岩の路面。手を使ってよじ登るところも多いです。ここはあえて上半身も使って足を休めたいところ。手袋を用意して、岩で手を切るケガを予防する人も多いです。
八合目から頂上までは再び砂れき中心。ここまで来ると足は相当しんどい状態ですから一歩ずつ着実に進み頂上を目指しましょう。
富士登山競走特有の注意点
富士登山競走はほかのトレイルレースと異なる点が多い大会です。注意点を2つ挙げておきます。
★自力で下山
山頂でフィニッシュしてから五合目までは自力で下山。ジョグで1時間、歩きだと2時間ほどかかります。
下山道は浮石が多く捻挫しやすいので注意しましょう。下山道では土ぼこりが舞いやすいため、マスクを持っていく人もいます。
★高山病のリスク
高山病になるかどうかは個人差が激しいですが、一般的に標高2400m以上の山で、急に標高を上げた場合に起きやすいといわれます。富士登山競走は日本では最も高山病が起きやすい状況かもしれません。
高山病は命に関わる症状ですから、事前の対策とレース中に症状が出た場合の適切な判断が必要になります。高山では普段と心も体も違う状態になっているので、絶対に無理は禁物です。
レース後の流れ
山頂でフィニッシュしたらまずは五合目まで下山して飲み物などを受け取ります。
必要に応じて休憩所で休んだあと、一般のバスターミナルから800mほど離れた専用バス乗り場へ向かいましょう。バスに30分ほど揺られて富士北麓公園に到着したら、荷物の受け取り、グルメブースでの昼食などを済ませます。
北麓公園での用事を終えたら、各駐車場・富士山駅へ向かうバスに乗り込んでやっと帰宅。頂上からの下山に加えて2回のバス乗車があるので、帰宅も大変なのが富士登山競走なのです。
ウェア選びが重要
富士登山競走では、スタート地点とフィニッシュ地点の気温差が―21℃。ウェア選びが難しい。2018年大会で僕はノースリーブのウェアと短パンでスタートし、頂上では相当寒い思いをしましたよ。
2018年は終日天気が良く、スタート時点では頂上の気温約7℃で快晴とのアナウンスがありました。しかし頂上に着いてみると風が強く極寒。視界も悪い状態。座ってガタガタ震えているランナーもいて、低体温症の危険を感じさせるコンディションでした。
自分の走力と当日の天気を総合的に考慮して慎重にウェアや装備を選ぶ必要があります。不安だったら温かい装備を持つのがおすすめ。頂上まで走って体力を使い切った後に寒い環境に置かれると、一気に体温が下がって体が動かなくなり危険です。
荷物預け
五合目あてに20ℓ袋、富士北麓公園あてに70ℓ袋に荷物を入れてスタート付近で預けます。
メインの荷物を富士北麓公園に送り、五合目は下山直後に必要なものだけ預けます。僕は五合目にタオル・Tシャツとプロテインを送りました。
距離表示
なし。五合目以降は登山道の表示でおおまかな山頂までの距離がわかります。
トイレ
スタート地点には3か所に分かれて仮設トイレがあります。スタート1時間前に到着すると既にかなり混雑していました。レース中は使用料を払って山小屋のトイレを使います。
受付
事前発送のためなし
参加賞
山頂コースを完走すると後日フィニッシャーTシャツが送付されます。
スタート
過去3年間での五合目通過タイム・五合目コースフィニッシュタイムに基づいてA・B・Cブロックの3つに割り振られるようです。Aブロックの前に招待選手などが並びます。
ブロックごとのタイム基準は2018年のところ以下のとおりだと思われます。カッコ内は2018年のブロック別人数です。
- Aブロック 1:50以内(男子:404人、女子:8人)
- Bブロック 2:10以内(男子:1280人、女子:63人)
- Cブロック 上記以外(男子:767人、女子:74人)
Aブロックだと一番後ろに並んでもさほどスタートロスはありません。
Bブロックの人数が一番多く、Bブロックの最後列だと2~3分のスタートロスがあると思われます。大会によれば先頭から最後尾までのスタート通過時間差は4分程度。
応援
馬返し(10.8㎞)まではロード、それ以降も一般登山道のため好きな場所で応援できます。
エイド
合計11か所ありました。
エネルギーになる食べ物は三合目・五合目のバナナや角砂糖のみで、基本的には水分中心。六合目以上は水のみでした。
補給食は携帯した方が良いでしょう。給水所の数は多いため、僕は水分は持たずジェル2本をズボンのポッケに入れていきました。
関門
制限時間 4時間30分
- 五合目関門(佐藤小屋) 2時間15分
- 八合目関門(富士山ホテル)4時間
山頂コースの完走率は例年50%前後。
記録証
後日郵送
食事
レース後に五合目からバスで移動する富士北麓公園にグルメブースがあります。吉田のうどん、かき氷、牛串など種類が多いですよ。ゼッケンと一緒に事前に郵送されるチケットを使えます。2018年は600円分でした。

ブース多数
お風呂
富士山付近には日帰り温泉が多数あります。2つご紹介。
山中湖温泉「紅富士の湯」
料金:800円(大人)
http://www.benifuji.co.jp/contents/info/
富士山溶岩の湯「泉水」
料金:800円(大人)
http://www.fuji-sensui.jp/
アクセス
スタート地点の富士吉田市役所までは、富士急行線「月江寺駅」から約1㎞、「富士山駅」から約1.5㎞です。富士山駅や河口湖駅までは都内や横浜などから高速バスも運行されています。
自家用車で行く場合には、エントリー時に交通手段「車」を選択すると発行される駐車券で大会臨時駐車場を利用。会場行きのバスに乗ります。
宿泊
富士吉田市役所徒歩圏内に宿泊するのがベストですが、かなり前から予約で埋まっている宿泊施設が多い。出場が決まったらすぐに予約するのがおすすめです。
それでも取れない場合、キャンセル待ちを狙ってたまに電話していると運よく空きが出ることも。僕も直前に空きが出て会場近くに泊まれたことがあります。
参加費
- 山頂コース 15,000円
- 五合目コース 10,000円
参加基準タイム
山頂コースに参加するには参加基準タイムをクリアする必要があります。
2019年大会以降の基準タイムは以下のとおり。いずれも5合目コースのフィニッシュタイムか、山頂コースの5合目関門通過タイムが基準になります。
- 第72回大会(2019年開催)
第69回大会2:25以内または第70・71回大会のいずれかで2:20以内 - 第73回大会(2020年開催)
第70・71・72回大会のいずれかで2:20以内
申し込み期間の目安
2018年は3月19日に申し込み開始でした。毎年すぐに定員が埋まります。
参加資格がなく定員が少ない五合目コースの申し込みは大変。山頂コースが2,500人に対して、五合目コースは1,276人のためクリック合戦をクリアするのは至難の業です。
大会Webサイト
https://fujimountainrace.city.fujiyoshida.yamanashi.jp/
プチ情報
富士吉田市役所付近の多くのコンビニでは、前日夜におにぎりが品薄になります。前日・当日の食事がおにぎり派の人は現地入りする前に買っておいた方がよいでしょう。
思ったこと
富士山頂までの一気登りは何度やっても魅力的!5合目以降はどのランナーも余裕がないので、メンタルを強く保って体を動かし続けられるかがポイントになります。
僕は・・・
3:20で40位でした。
- 馬返し通過 52分
- 五合目通過 1時間35分
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1988年千葉県産。25歳に走り始めた。サウナーでありロングスリーパー。ミドルレンジのトレイルレースを中心に走っている。おんじゅくオーシャントレイル2020、みたけ山トレイルラン2019などで優勝。PBはハーフが1:10、フルが2:35。
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