【読書録】「チーム」― 箱根駅伝の学連選抜がテーマ

ストレッチカエル

「堂場瞬一さん著『チーム』を読んで」

この記事ではそんなことをつらつらと書いてみました。

短期間で「チーム」になれるか?学連選抜を描く

箱根駅伝にはシード校と予選会通過校に加えて選抜チームが出場します。2013年までは関東学連選抜として参加していて、2014年は継続の是非について議論のため休止。2015年には関東学生連合として復活しました。

本大会に出場しない大学から選抜された選手で構成されるチームです。最強の市民ランナーとして活躍し、現在はプロに転向した川内優輝選手も2007年と2009年に学連選抜で6区を走っています。

学連選抜には持ちタイムの良い選手が集まるものの、ほとんどの年は二桁順位でレースを終えます。寄せ集めチームのため、どうしてもチームワークが課題になるのです。

「チーム」は、主人公で学連選抜キャプテンの浦が予選会で敗退するところからスタート。いかにしてチームを作っていくか模索していく様子が描かれます。

ラッパーカエル

キャプテン浦と監督吉池の視点で物語が進む

物語はキャプテン浦の視点と、予選会で敗退した大学の監督である吉池の視点から描かれます。立場の違う人間それぞれの視点から、学連選抜の難しさを見ることができるでしょう。

個人的に残念だったのが、数人のキャラクターに焦点を絞り過ぎていること。主要キャラクター以外の区間は走っているシーンさえすっ飛ばされるのは残念でした。三浦しをんさんの「風が強く吹いている」のように全キャラクターの内面が描かれる方が好みです。

学連選抜が正式参加となっていた時代が舞台

現在の関東学生連合はオープン参加となっていますが、「チーム」で描かれている時代では正式参加。実際、2007年~2013年までは学連選抜がチームの一つとして数えられています。10位以内に入ればシード権獲得となり、翌年の予選会からの参加校が増えるのです。

青学・原監督が学連選抜を指揮した年がモデル

2桁順位が多い学連選抜の歴史において異彩を放つのが2008年。なんと4位になっています。

この年に学連選抜を率いたのがご存じ青山学院の原監督。青学が強豪校となる以前に学連選抜を指揮していたのです。順位だけ見ても、当時から指導力が傑出していたことがわかりますね。

「チーム」執筆にあたって原監督に話を聞いたようですし、おそらく2008年のチームが参考になっています。

タイム設定などに一部「?」なところも

著者はスポーツライター志望だったそうで、ディテールにこだわった書き方をしているのも印象的です。合宿地なども実際に箱根駅伝常連校が利用するところ。実家が近く、僕もときどき走りに行く場所ですが、小説内の風景の描写などは実際に訪れていないと書けないものでした。

それだけにガックリきたのが、タイム設定がめちゃくちゃな部分があること。練習の1500mで3分38秒で走る選手がいたり(日本記録が3分37秒)、レースでの入り1㎞を2分30秒で突っ込むなどありえないタイムがたまに登場します。

没入してガーッと読んでいても、現実離れしたシーンがあることで白けてしまうんですよね。ファンタジーではなく実話をベースにしていると思われるだけに、そんなところが気になってしまいました。もちろん、ランニングを趣味としていなければ気になるところではないとわかってはいるのですが。

 

 

 

 

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